早稲田大学在学中の2020年に「渡辺まお」としてセクシー女優デビューし、2022年に引退した神野藍さん(25)。現在は会社員として働く傍ら、文筆家として活動している。
そんな彼女がセクシー女優時代の「私」を赤裸々に綴った衝撃のエッセイ『私をほどく』(KKベストセラーズ)を上梓。今回は本を発売することを決めた理由についてお聞きしました。(全2回の2回目/最初から読む)
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引退後も付きまとう肩書き
――その後、神野さんは限界を迎え辞めることを決意されました。約2年セクシー女優としての活動を続けたわけですが、引退してからの生活はいかがでしたか。
神野 「渡辺まお」を捨てるということは自分の存在も捨てるような感覚でした。「渡辺まお」でいることが自分を守っていたし、自分がやってきたことの証明でもあったので、自分を失った感じがしました。
セクシー女優になったことで普通の人生を失ったけど、「渡辺まお」になったことでまた新しい自分を手に入れた。でもその「渡辺まお」を失ったら戻る場所がないというか。
――セクシー女優であることで辛かったことも多かったけど、それ自体が自分を守っていたと。
神野 もしかしたら引退した後の方が辛かったかもしれません。「元セクシー女優」という肩書きが付き纏うので、今後の人生はどうなっていくんだろうとか。
――「肩書き」が付き纏う人生への不安が大きかった。
神野 会社員をしながら文筆家として活動を始めましたが、「元セクシー女優」なんだから性的な話はしていいだろうと思われることも多く、「経験人数は?」「今までで一番気持ちよかったのは?」とか普通だったらセクハラになる質問もたくさん受けました。
――そういう質問にはどう答えていたのでしょうか。
神野 さらっと答えていました。当然だと思っていたので。私はそういう職業をしていたんだからセクハラだと指摘する権利はないんだって。心がすり減っていく感覚はありましたけど、自分の気持ちに蓋をしていました。