――ちゃんと自分の過去を受け入れて前に進むことができたんですね。
神野 そうですね。SNSとかでも裸になっている時点で、自分より下だと思っている方が多い印象があって。メッセージでは「いい体です」とか「いつもお世話になっています」とか褒めたたえる言葉を送ってきたりするけど、裏では見下していたりする。セクシー女優なんだから何言ってもいいだろうって思っている人がいる。だけどそれに振り回されて自分を卑下する必要はないと思って。
――会社員として働き始めて3年が経ちますが、「元セクシー女優」と意識することは少なくなりましたか。
神野 前よりは減りましたね。少し前にとある就活サイトから業務委託の面接を申し込んだことがあって。ありがたいことに採用していただけたんですが、本名を検索した時に「元セクシー女優」ってことがわかったらしいんです。でも内定いただけるまでずっと黙っていたようで、働き始めてから少し経った時に、「実は知っていたんだよ」って言われました。
――ドキッとしますね。
神野 「え、やばいかも」って心臓がバクバクでした。でも会社としてマイナスに捉えてないし、むしろ面白い経験だよねって言ってくれて。「今ちゃんと仕事のパフォーマンスを発揮してくれているから」ってちゃんと中身を見てくれて。それはすごく嬉しかったです。
「結局全部をひっくるめて考えたときに後悔はないかなって」
――改めてこれまでを振り返ってご自身の過去に後悔の気持ちはありますか。
神野 難しいですね。後悔をする瞬間はあります。セクシー女優をやっていなかったら普通の人生を歩めてたのかなとか、あの時こっちの選択していればとか、細かいことはいっぱいあるんですけど、結局全部をひっくるめて考えたときに後悔はないかなって。結果的によかったと思うし、よかったと思える人生にしていかなければいけないと思います。
――最後にどんな方にこの本を読んでもらいたいですか。
神野 男性にも女性にも読んでもらいたいです。10代の多感な時期の人にも読んでもらいたいし、もっと上の人にも読んでもらいたい。
自分の人生を考えるっていうのは、別に早くても遅くてもどちらでもいいと思っていて。学校に通っていたり、仕事していたり、育児をしていたりすると、なかなか立ち止まって自分のことを考える機会がないけど、私の本を読んで一旦立ち止まって、自分の人生と向き合ったり、対峙したりしていただけたら嬉しいです。
写真= 榎本麻美/文藝春秋
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