31歳でスタイリスト男性と結婚、2児の母に

『欲望』公開時には30歳になっていた。私生活では、31歳だった2007年2月、スタイリストの男性と結婚。長男と次男の出産を挟み、2010年からは東京郊外の古い一軒家をリフォームして暮らすようになった(家はのちに建て替える)。

 本人に言わせると、20代のあいだは空回りする時期が続き、精神的にも不安定だったが、《結婚して子どもが生まれてから、頭で悶々と考える前に目の前のことに全力で取り組まざるをえない環境になったことが、私にとってはよかった》らしい(『婦人公論』2018年4月10日号)。

板谷由夏〔2007年撮影〕 ©文藝春秋

 子供が小さいときは公私を切り替える暇もないほど毎日必死だったという。そんななか、俳優としても母親としても先輩の原田美枝子から「仕事をしたいなら、子供を言い訳にしないでやりなさい」とアドバイスされてからというもの、子供のことで仕事をあきらめるのはもったいないし、子供にも申し訳ないと考え、やりたい仕事が来たら絶対に断らないよう心がけてきたという(『フィガロジャポン』2021年11月号/「週刊女性PRIME」2022年10月7日配信)。

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原田美枝子 ©文藝春秋

報道番組キャスターへの挑戦

 仕事も子育てもこなしつつも、「わかっている風」「できている風」に陥ってしまうことにモヤモヤを抱き、「このままでいいのか?」と常に手探りを続けてきたとも語る(『婦人公論』2021年1月26日号)。俳優業にとどまらず、2007年から11年にわたり、日本テレビ系の報道番組『NEWS ZERO』でキャスターを務めたのも、そんな思いからだった。

「NEWS ZERO」(日テレ系)のキャスターを11年にわたって務めた。右は村尾信尚キャスター(板谷由夏のインスタグラムより)

 30代後半にもなると、ドラマや映画の現場で、自分のなかでは全然できていないのにOKが出たりと、若い頃のように叱られなくなっていた。このときもやはり、このまま「できている風」に振る舞っていては勘違いした40代になると危機感を抱き、そういう自分はごっそり捨ててしまおうと決意する。