「自宅マンションから『飛び降りたい』と…」睡眠不足の毎日を過ごし、うつ病に…
睡眠不足の毎日の中で、次第にくすのきさんの疲れはたまっていった。あるとき、天井から数十匹のクモがバラバラと落ちてくる幻覚を見た。
ベビーカーを押して歩いていると、涙が出てきて止まらなくなったこともあった。「うつ病かな」、そう思いながらも、建物に入ると泣き叫ぶ長男を抱えて病院に行くのはためらわれ、いずれ治るだろうと思い、毎日を必死に過ごした。
クリニックを受診し、うつ病と診断されたのは、長女が産まれた後の2003年のことだった。このころは、自宅マンションから「飛び降りたい」という思いがわくようになっていた。
さすがに、「このままではいけない」と考え、夫に2人の子どもを任せて自宅近くのクリニックを受診した。このときに処方された薬が効き、その後は、気持ちは楽になっていった。
長男が発達障害と診断されるまでの経緯
長男は発達障害なのではないか、と気づいたのは、長男が4歳のころ。幼児向け通信教材の付録の冊子に、発達障害についてわかりやすく解説されていた。パラパラとページをめくると、長男に当てはまる事例が複数書かれていた。
同時に、くすのきさん自身の特性とも重なっているように感じた。
特に「注意を持続するのが難しい・ケアレスミスが多い・忘れ物が多い」といった特徴が記された注意欠陥・多動性障害(ADHD)の説明を読み、「これ、私やん」と思った。
「なんで今まで発達障害について誰も教えてくれへんかったん? 早く教えてもらってたら私の人生、もっと楽やったのに」と感じた。
こだわりの強さや他人の気持ちを理解することが苦手な夫もまた、発達障害ではないかと感じた。「なぜ、私の大変さをわかってくれないのか」。それまで、夫にそう思うことがあったが、「発達障害」という視点で見れば、夫に悪意はまったくないのだと改めて理解できた。
その後、ネットや本などから情報を集め、長男が発達障害であることを確信した。医療機関を受診し、長男は6歳のときに自閉スペクトラム症とわかった。
このとき、受診を申し込んでから、初診まで1年半も待った。
