「夫もとても個性的で凸凹が激しい」夫に育児を任せられなかったワケ
夫に育児を手伝ってもらおうと何度も思った。だが、夫には不器用なところがあり任せることができなかった。
「夫もとても個性的で凸凹が激しい」と、くすのきさんは言う。
夫は、有名私大を卒業後、民間会社の営業職として働いてきた。仕事熱心で、うっかりミスをすることはめったにない。
ところが、日常生活では不器用だったり、人の気持ちを読み取ることがとても苦手だったり、こだわりが強かったりした。
結婚前、友人の紹介で初めて出会った日の夫のスラックスには、中央部分の縦の折り目が、5本も入っていた。アイロンを上手にかけられなかったようだった。
長男が赤ちゃんのときに、夫に沐浴を手伝ってもらった。まずは、抱きかかえられるようになるまでが一苦労だった。
あるとき、夫が右手で長男の背中を洗っている間、左手がおろそかになり長男の頭がお湯の中に。
気づかずにいる夫に、くすのきさんが慌てて注意したこともあった。
午後11時ごろに帰宅し、ゆっくりご飯を食べる夫
こだわりも強い。結婚後、長い間、夕飯のメニューは、ご飯と味噌汁と、5~7品ものおかずと決まっていた。午後11時ごろに帰宅し、晩酌をしながら、一皿を食べ終えては、次に運ばれてきた一皿へと箸を進め、ゆっくりと味わいながら食べる。
3時間ほどして夫が酔いつぶれたところで、くすのきさんは、ようやく後片付けに取りかかれる毎日だった。
くすのきさんが、寝付かない長男を片手で抱きながら、せわしなく夕飯の準備に追われていても、夫はペースを決して崩さなかった。
私がくすのきさんに、「大変ではありませんでしたか?」と聞くと、「大変でした」と言い、続けて、でも「おいしい、おいしい」と次々に料理を平らげていく夫の喜びようはうれしかった、と話した。
買い物でたくさんの荷物を抱えていても、隣を歩く夫は、自主的に荷物を代わりに持ってくれることはなかった。重たそうにしている様子を見ても、「僕が手伝わなければ」と察することが苦手だったようだ。頼めば快く荷物を持ってくれた。
くすのきさんは、裏表がなく素直で純粋な夫が大好きだ。それでも時々、「どうして私の苦労をわかってくれないのだろう」と思うこともあった。