周りから「親の愛情が足りない」「育て方が悪い」と言われたことも…
私は、朝日新聞(2006年7月1日夕刊1面、大阪本社版)で、「発達障害 足りぬ医師 関心高まり受診者増」という記事を書いたことがある。初診まで3年となっている医療機関や、待機者が増えすぎたため初診の受付を休止したクリニックの実情などを伝えた。
このころは、発達障害を診断できる機関が少なく、医療現場の混乱ぶりが目立っていた。
2002年に誕生した長女もまた、個性的な子どもだった。幼いころから、食べ物の好き嫌いが激しく、納豆やごはんなど限られたもの以外は絶対に食べなかった。
幼稚園に入園後、まもなく登園を嫌がるようになり、年長になってからは、下痢や嘔吐もあらわれ、約半年間登園できなくなり、6歳のときに自閉スペクトラム症とわかった。
長男と長女の行動は、周囲の人たちには「わがまま」と映ったようだった。
長男が発達障害の診断を受けるまで、くすのきさんが何よりつらかったのは、周りから、「親の愛情が足りないのではないか」「親の育て方が悪い」「夫婦仲が悪いのではないか」などと言われたことだった。発達障害だとわかり、そうした偏見から解放された気持ちになった。
くすのきさんは、発達障害について猛勉強を始めた。自身にもこだわりが強い面があり、興味や関心を持ったことにとことん取り組む傾向があった。200冊以上の本やネットの情報、専門医の講演会などから知識を得た。熱心に講演を聴いている人がいれば声をかけ、幅広く情報を集めるよう努めた。
くすのきさんは、正式な診断は受けてはいないものの、医師から、自閉スペクトラム症と注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)の特性があると指摘された。子どもたちの受診の際に同席した夫もまた医師から、自閉スペクトラム症の特性があると言われた。