炎上して評判を下げる企業もあれば、炎上をきっかけに評判を上げる企業もある。ここでは「離乳食提供」を機に炎上→逆に評判を上げた2023年のスープストックトーキョーの事例を紹介。ITジャーナリストの高橋暁子氏の新刊『若者はLINEに「。」をつけない 大人のためのSNS講義』(講談社)より一部抜粋してお届けする。(全3回の2回目/最初から読む)
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公式アカウントでなぜ炎上が多いのか
企業の公式アカウントでは炎上が多く起きています。毎年、多くの企業公式アカウントによる炎上が報告されていますが、なぜなのでしょうか。
公式アカウントは一般アカウントよりもフォロワーが多いため、注目を集めやすいというだけではありません。
企業公式アカウントには、一般アカウントとは異なる姿勢が求められるためです。企業公式アカウントの発言は、「企業の考え」ととらえられてしまいます。
消費者は、一般の人に対してと企業に対してでは、違うものを求めています。消費者は、企業に対してはお客様だったり、少なくとも見込み客であったりします。
そのため、企業に対しては、信頼性や公平性、公正性などを求めることが多くなります。
誠実で信頼できるとか、どの消費者も差別されないとか、公平で公正であることなどが求められやすいのです。
なぜなら自分は、一顧客だから。漠然と、企業にどうされたいか、どう振る舞われたいかという願望があるから。
消費者が漠然と求めているその像から著しくはずれた言動をしてしまった場合、「企業の公式アカウントなのに非常識」「こんな企業からはモノを買いたくない」などと、著しい反発を食らってしまう可能性が高くなります。
これが炎上になる、というわけです。
