消費者の企業公式アカウントを見る目は、一般アカウントを見る目よりも厳しいのです。
それを自覚したうえで使わなければ、炎上トラブルを防ぐことはできません。前述の通り、公的機関の公式アカウントであれば、さらに見る目が厳しくなるでしょう。
消費者たちが企業公式アカウントなどに何を求めているのか、そのためにどうするべきかを把握できていれば、炎上トラブルは防げる可能性が高くなります。少なくとも、差別発言や公平ではない発言は慎むべきですし、プライベート投稿を間違って公式アカウントで投稿してしまういわゆる「誤爆」なども避けるよう最大限の努力をするべきでしょう。
炎上したのに「評価を上げた」ワケ
とはいえ実際は、誰に対しても公平というのは難しいものです。
たとえばスープストックトーキョーは、2023年に子育て世代を応援しようと、全店での離乳食の無料提供を発表して炎上状態となったことがあります。「子どもが増えて居心地が悪くなりそう」「独身を切り捨てるのか。今後絶対に行かない」などのクレームが殺到してしまったのです。
スープストックトーキョーはこれに対して安易に謝ったりせず、「さまざまな理由で食べることへの制約があったり、自由な食事がままならないという方々の助けになれればと『Soup for all!』という食のバリアフリーの取り組みを推進」しているという企業理念、それに対する過去の実際の取り組みを挙げ、誰も切り捨てない文章で締めくくっていました。
「私たちは、お客様を年齢や性別、お子さま連れかどうかで区別をし、ある特定のお客様だけを優遇するような考えはありません。私たちは、私たちのスープやサービスに価値を見出していただけるすべての方々の体温をあげていきたいと心から願っています。皆さまからのご意見を受け止めつつ、これからも変わらずひとりひとりのお客様を大切にしていきます」
悪くないのに謝ったりはせず、批判をした人も切り捨てず、企業理念と思いを伝えることで、逆にファンを増やした素晴らしい例といえるでしょう。
