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「ふとしたはずみで小松さんにキスしてしまった」
ところが、である。東京から戻って秋になった頃、ふたりはデートやキスを経験して恋愛関係になっていた。いったい何があったのか?
「愛の告白はしませんでしたが、ふとしたはずみで小松さんにキスしてしまった。」
(『人生なんて夢だけど』より)
いつからそうなったのか、詳細ははっきりしない。自然に距離が近づいて、いつのまにか恋人同士になっていた。と、いうことだが。
男女の恋愛関係を成立させるのに「告白」という儀式が必要になったのは、戦後しばらく経ってからのこと。世界的に見ても珍しい風習だという。この頃は日本でもまだ、そんな風習はなかったようだった。だから「いつから、つき合っているの?」などと、今風な質問をされても答えられない。
東京での食中毒事件の際にはやなせが最も早く回復している。動けるようになると暢と協力しながら、まだ食中毒に苦しんでいる同僚の分まで仕事をこなした。取材や打ち合わせなどで一緒に行動することも多くなり、仲が深まるシチュエーションがたくさんあったのだろう。
青山 誠(あおやま・まこと)
作家
大阪芸術大学卒業。近・現代史を中心に歴史エッセイやルポルタージュを手がける。著書に『ウソみたいだけど本当にあった歴史雑学』(彩図社)、『牧野富太郎~雑草という草はない~日本植物学の父』(角川文庫)などがある。
作家
大阪芸術大学卒業。近・現代史を中心に歴史エッセイやルポルタージュを手がける。著書に『ウソみたいだけど本当にあった歴史雑学』(彩図社)、『牧野富太郎~雑草という草はない~日本植物学の父』(角川文庫)などがある。
