「相方は私より5歳年下で、可愛くて、神戸大学卒の才色兼備。どこにいっても相方だけがチヤホヤされるのが当たり前」
かつてカワイイ相方との格差に、コンプレックスを抱いていた、お笑いコンビ・アルミカンのボケを担当するマッチョ赤阪さん(41歳)。しかし39歳のときに、そんな葛藤から抜け出すため、本格的に筋トレを開始。ボディービルの大会で好記録を達成するだけでなく、より人生をポジティブに生きられるようになった『彼女の戦いの記録』をお届けする。
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筋トレを始めたきっかけは「相方との格差」
「39年間モテなかった」という言葉で自らを表現するお笑い芸人のマッチョ赤阪さん。相方が結婚するという人生の転機をきっかけに、筋肉トレーニングの世界に足を踏み入れ、ついにはボディビルの大会出場にまで至った彼女の変化の軌跡を追った。
きっかけは「格差コンビ」と呼ばれるほど、相方との違いに悩んでいた時期にあった。「相方は私より5歳年下で、可愛くて、神戸大学卒の才色兼備。どこにいっても相方だけがチヤホヤされるのが当たり前」と語るマッチョ赤阪さん。そんな相方がパイロットと結婚したことで「もう悔しくて」と、その鬱屈した気持ちを解消する先として、放送作家から勧められた筋トレの世界に足を踏み入れることになった。
「お笑いは努力してもスベることがあるけど、筋肉は裏切らない」
「ジャングルジムスポーツ」という関西では厳しさで有名なジムに通い始めたマッチョ赤阪さん。最初は気が進まなかったという筋トレだが、ジムの会長から「筋トレしたらモテるぞ」という言葉に背中を押された。「ジムは"出会いの場"でもあるし、筋肉女子は圧倒的に少ないから有利だと。39年間モテなかった私には、それが何よりの励みになりました」と率直に語る。
149cmという身長も「筋トレ向き」と言われ、コンプレックスだった肩幅の広さも「筋肉が目立ちやすいから武器になる」と評価されることで、自分の体格に新たな価値を見出していった。「血管が出やすいタイプだから、肉体のバキバキ感が出やすくていい」など、ジムで受ける言葉が彼女の自信へと変わっていったのだ。
「お笑いはスベる。でも筋肉は裏切らない」
約1ヶ月で筋肉の変化を実感し始めたマッチョ赤阪さん。「お笑いは努力してもスベることがあるけど、筋肉は裏切らないんだ」という言葉からは、芸人として抱えてきた葛藤と、筋トレによって得た確かな手応えが伝わってくる。
そして彼女は、出身地である兵庫県尼崎市の「尼崎ボディビル・フィジーク選手権大会」への出場を目標に掲げた。フィジークという種目は、筋肉の大きさだけでなく、全体のバランスの良さが評価されるため、初心者にも挑戦しやすかったという。
ボディビル大会の準備は想像以上に過酷だった。49kgから44kgへの減量は、鶏胸肉とブロッコリーを詰めたタッパーを持ち歩く日々。「アルミカン」というコンビ名で活躍する彼女たちは、食レポのロケも多く、「おいしそうやね~!」と賑やかし役に徹しながら、空腹と戦い続けた。
大会用のビキニは4万円もするというが、「安いやん」と言った相方に「このパイロット妻が……」と歯ぎしりしたエピソードからは、コンビの関係性が窺える。また、肌を焼くために日サロに通った際には、「39歳にして初めての経験にドキドキ」したという。
大会前には、有名選手との厳しい戦いが待っているとわかっていながらも、「奇跡が起きれば勝てる」と自分を奮い立たせ、ランニングまで取り入れた。「最後まで必死でやったからこそ、本番では涙が込み上げるような思いがありました」という言葉からは、単なるネタではない、彼女の本気の姿勢が伝わってくる。
「格差コンビ」という言葉に悩んだ一人の女性が、筋肉という新たな武器を手に、自分自身の価値を再発見していく——。マッチョ赤阪さんの挑戦は、まだ続いている。
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