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「ドン河の曲線」と引き換えに30億ルーブル削減
予定外の出費を受けて、クロッカス側はデザインの大幅な変更に着手した。本来のデザインでは、周囲の景観との調和という理念の下、アリーナにはドン河の曲線をモチーフとする2枚の屋根が架けられるはずだった。彼らはこれを長方形のシンプルな1枚の屋根に変えることで、つまり設計上の理念や個性的な表現と引き換えに、30億ルーブル(約53億円)近い工費の削減を実現したのである。
実はスポーツ省に訴えられている
こうしてアリーナの建設は2017年末までになんとか終了した。だが会場の整備は遅々として進まず、オープンは結局今年の3月までずれ込んだ。2月にはロシア政府のスポーツ省が、特に工事の遅れた6つのアリーナについて、工事を請け負った会社に大規模訴訟を起こしており、クロッカス・グループもその中に含まれている。ロストフ・アリーナの紆余曲折はW杯後もまだしばらく続きそうだ。