決勝トーナメントに進んだ日本の次なる戦いの舞台となるのが、モスクワから南へ約1000キロ、ロストフ・ナ・ドヌ(ドン河畔のロストフ)の街に新たに建設された、ロストフ・アリーナだ。

ロストフアリーナではブラジル−スイス戦も行われた ©iStock.com

政府と良好なゼネコン集団「クロッカス・グループ」

 ロストフ・アリーナの建設を請け負ったのは、億万長者アラス・アガラロフ率いるゼネコン、クロッカス・グループ。同社はロシア政府との良好な関係の下、これまでインフラの整備から都市開発までを幅広く手掛けて成長してきた。ちなみにアガラロフは、スポーツの振興のために「利益を度外視して」アリーナの建設を請け負ったと主張しているが、同社は周辺の都市開発も一緒にちゃっかり受託している。

プーチン大統領と握手するアラス・アガラロフ ©getty

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 当のアリーナの建設の過程は、脇を流れるドン河に負けず劣らず紆余曲折に富んでいた。まずもちあがったのは人工地盤の問題だった。工事開始後に地盤の整備が不十分だったことが判明し、土台の補強のために総工事費は当初の150億ルーブル(約264億円)どころか、200億ルーブル(約352億円)を軽く超えることになった。