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夢が覚めたから、殺した
ホームレス同然の田中さんを、なにを思って養ったのか。そこに、淡い期待はなかったのだろうか。もしもそれがあったのだとすれば、ある意味、見返りを求めていたことにもなるわけで、その年齢を考えればいささか大人げない印象もありはする。美津代は「いつか」という夢さえ見られていればよかったのかもしれない。一緒になることが叶わずとも、ずっと、田中さんに嘘でも夢を見させてもらえれば、それでよかったのかもしれない。
最後に美津代は言った。
「なら、もう仕方ないね」
夢が覚めたから、殺した。