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求刑懲役12年、判決懲役8年
検察は、殺人で美津代を起訴したが、弁護側は殺意はなかったとして傷害致死を主張。また、犯行当時は酩酊状態であり、心神耗弱だったとし、さらには現場に駆け付けた警察官に対し「私がやった」と話したことが自首に相当すると主張していた。
しかし東京地裁は、田中さんは心臓一突きで殺害されており、強い殺意が推認されるとした。また、酩酊状態であった点についても、その後の取り調べにおいて、いまだ鑑識すら終わっていない時点であったにもかかわらず、具体的かつ迫真性に富んだ証言をしていることから、美津代の記憶やその精神状態に大きな問題はなかったとした。
そして自首についても、すでにその事件が発覚し、その場にいて事情を知っていると強く推認される状態での「私がやった」という発言は、自己の犯罪事実の申告ではないため自首には当たらないと退けた。
一方で、ホームレス同然だった田中さんの世話をし、社会復帰にまでこぎつけたのは美津代の支えあってこそであり、その美津代に対する田中さんの、たとえ酔っていたうえでの発言とはいえ、美津代への背信的な言動が事件の背景にあるとして、美津代に懲役8年(求刑懲役12年)、未決勾留日数を300日算入という判決を言い渡した。
確かに田中さんはとんでもないクズだ。しかし、美津代はどうだろうか。
