ICCの活動は止まらない

 たとえ制裁に直面していようと、ICCは自分たちの使命を果たさなければなりません。現在も公判を行い、世界各地で捜査を続けています。

 近年はアジアの事態も増えてきました。2019年11月からは、バングラデシュとミャンマーにおける事態について検察局が捜査を行っています。ミャンマーでは、軍によってロヒンギャと呼ばれるイスラム教徒の少数民族が迫害されてきた疑いがあります。2016年と2017年には、ロヒンギャの武装勢力と軍の衝突があり、推計で70万人以上のロヒンギャの人たちが隣国バングラデシュへの避難を余儀なくされた。ベンソーダ前検察官は、自らの発意でこの事態をめぐる捜査を開始しました。

 2024年11月、カーン検察官はミャンマー軍のミン・アウン・フライン総司令官に対する逮捕状を請求しました。ロヒンギャの人たちを迫害し、避難を余儀なくさせた人道に対する犯罪の容疑によるものです。この人物は、ミャンマーの事実上の最高権力者でもある。検察官が逮捕状を請求した事実を公表したため、既に報道もされています。現在、予審第一部の裁判官が逮捕状を発付するかどうか審理を行っているところです。

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ミン・アウン・フライン総司令官 via wikimedia

 2020年にスタートしたアフガニスタンの事態をめぐる捜査も、継続中です。2025年1月23日には、カーン検察官がタリバン最高指導者のハイバトゥラー・アクンザダ氏、タリバン政権で裁判所のトップを務めるアブドゥル・ハキム・ハッカーニ氏に対する逮捕状を請求しました。性別を理由に女性を迫害した人道に対する犯罪の疑いとされている。この逮捕状請求も検察官が公表をしたため、既に報道されています。