近づいて判明した“ナゾの道路”の正体
突き刺さった道路は、港に架かる橋だった。橋の下を船舶が通過する際に橋が動く“可動橋”の一種で、橋が跳ね上がる構造になっている。
ちょうど橋が跳ね上げられた状態のところを、国道から目撃したのだった。
この橋は手結港可動橋(正式には高知県手結港臨港道路可動橋)といい、高知県香南市夜須町の手結港に架かっている。2002年に高知国体が開催された際、公園のヤ・シィパークなどとともに、周辺へのアクセスの向上を図るため設置された。
橋は港の開口部に架けられているため、橋が邪魔になって船舶の出入りができなくなってしまう。そのため、決まった時間に橋が跳ね上がり、その間に船舶が運航できる可動橋として設置された。
可動橋にも旋回するものや橋が上昇するものなど様々な種類があるが、手結港可動橋は橋桁が跳ね上がる“跳開橋(ちょうかいきょう)”といわれるもの。跳開橋といえば、今は動かなくなってしまったが、東京都の隅田川に架かる勝鬨橋が有名で、かつては中央部がハの字型に跳ね上がっていた。
手結港可動橋は1本の橋がそのまま跳ね上がる“片側跳ね上げ式”の可動橋で、私はこれまで見たことがなかった。だからこそ、見慣れない異様な光景だったわけだ。
せっかくなので橋が動いているところを見たくなり、後の行程は気にしないことにして、手結港に居座ることにした。近くには案内看板もあり、日中はおおむね1時間おきに上げたり下げたりを繰り返している。
夜間はずっと上がった状態になるため、車や人が橋を通行することができない。橋を通行できるのは1日に6時間半に限られており、船舶優先の橋ということなのだろう。橋が動くまで待っている間に、周辺を散策してみることにした。



