「誰よりも一番に私を認めてほしかったんです」母親に対する複雑な感情

 遠野さんは4人きょうだいの長女だった。しかし、母親から虐待を受けていたのは遠野さんだけだったという。

「母は私に対して、娘というより『女』として対抗意識を燃やしているような部分もあったと思います。だからなのか、私が弱れば弱るほど喜ぶ、みたいな感じでした。だから私は、いつまでも自信を持てないまま来てしまいました」

 遠野さんは、壮絶な虐待を受け、酷い言葉を浴びせられながらも、母親からの愛情を求めていたと心の内を明かしていた。母親は、2022年5月に亡くなっている。

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「母には、誰よりも一番に私を認めてほしかったんです。だって仕事もきょうだいの世話も全部、母のためにやっていたようなものでしたから」

 

母親から「吐けば太らないのよ」と言われ…15歳から摂食障害に

 また、遠野さんは15歳のときから摂食障害にも苦しんでいた。思春期特有の体型の変化に悩んでいた彼女に、「吐けば太らないのよ」と過食嘔吐の方法を教えたのは母親だった。

「吐きやすい食材はこういうもので、指を突っ込んでトイレで吐きなさい、と教えられて吐いたのが最初のことでした。初めて吐いたときは『いいことを教えてくれた』と思ってしまいました。

 吐いちゃえば、食べたものが魔法みたいにゼロになるんだと思ってしまうし、子どもでしたから、それがいいことなのか悪いことなのかも判断ができなかったんです。何より、母がそんな体に悪いことを教えてくれるわけがない、と思っていたんでしょうね」

 遠野さんの摂食障害の症状は「拒食期」と「過食期」があり、過食期にはさらに「過食嘔吐期」と「吐けない過食期」に分かれていたという。