大きな支えとなった野際陽子からの言葉
同時期に出演したTBS系のホームドラマ『長男の嫁』(1994年)、『長男の嫁2・実家天国』(1995年)では、それぞれ設定を変えつつも嫁姑のバトルが注目を集める。前者では姑、後者では実の母の役で共演した野際陽子は、すでに『抱きしめたい!』(1988年)で共演していたが、『長男の嫁』の打ち上げで打ち解けて以来、プライベートでも親しくつき合うようになった。
40代に差しかかるころ、ふと不安に駆られ、これからどう生きていけばいいのかと野際に相談したこともあった。すると「あなたは一芸に秀でているんだから、それでいいの」との答えが返ってきた(『婦人公論』2017年2月14日号/『週刊ポスト』2025年1月31日号)。この言葉は浅野の心の大きな支えとなり、その後、俳優を一生の仕事と思って続けることができたという。
40代に入ると、フジテレビ系で2003年より放送された時代劇『大奥』で江戸城の大奥を取り仕切った女性・瀧山が当たり役となり、映画版、舞台版でも演じた。同時期のNHKの連続テレビ小説『てるてる家族』(2003年度後期)では、岸谷五朗演じる夫とともに終戦直後に大阪・池田にパン屋を開き、のちには喫茶店を切り盛りしながら4人の娘たちを育て上げた肝っ玉母さんを好演していたのが印象深い。
舞台『細雪』で宝塚出身女優たちと4姉妹役に
50代半ばぐらいからは舞台にも盛んに出演している。たとえば、マキノノゾミ脚本・堤幸彦演出の『真田十勇士』(2016年)と『魔界転生』(2018年・2021年)ではいずれも淀殿を演じ、彼女にとって『大奥』の瀧山と並ぶ思い入れの深い役となった。
宝塚歌劇団に入るのよという母親からの言いつけ(#1)は実現できなかったが、谷崎潤一郎の小説を舞台化した『細雪』(2019年)では、浅野が長女役で、宝塚の元トップスターである一路真輝、瀬奈じゅん、水夏希と4人姉妹を演じている。

