他方で、喜劇もやりたくて、三宅裕司が座長を務める熱海五郎一座に参加させてほしいと、2011年の公演中の楽屋に押しかけて三宅に直談判し、その2年後の公演『天使はなぜ村に行ったのか』で出演がかなった。
芸能生活40周年の節目に“W浅野”が復活
同じ年(2013年)には『抱きしめたい!』が連続ドラマの放送から25年ぶりにスペシャルドラマとして復活(『抱きしめたい!Forever』)、浅野温子と久々に共演を果たした。折しも芸能生活40周年の節目も重なり、当時のインタビューでは次のように抱負を述べている。
《軽演劇初挑戦に、四半世紀を超えてのドラマ復活、両方とも『大丈夫!?』って皆さん驚いてらっしゃるかもしれません(笑)。でも、女優という仕事をさせていただいてきて覚えたことを、まだまだどう変化させていけるか。そのことは常に考えています》(『週刊文春』2013年6月13日号)
なお、熱海五郎一座には2022年の『任侠サーカス~キズナたちの挽歌~』にもヤクザの女組長の役で参加している。三宅裕司とはその後も、彼の主宰する劇団スーパー・エキセントリック・シアターの45周年記念公演(2024年)に客演するなど関係が続いており、今年(2025年)1月に、浅野が歌手デビュー50周年を記念して開催した「KANSYA」と題するショーでは、三宅がプロデュースと作詞を手がけた新曲も披露した。
65歳を迎えたこの夏、8月には3年ぶりの再演となる舞台版『ゲゲゲの鬼太郎』に出演、前回の砂かけばばあ役に替わって吸血鬼カミーラを演じる。それが終わると息つく暇もなく、9月には中村梅雀との朗読劇『たとへば君 四十年の恋歌』の公演を控える。原作は河野裕子と永田和宏という歌人夫妻がともに歩んだ40年を互いの短歌と散文によって表現した作品で、浅野は闘病の末に先立つ妻を演じる。

