映画『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』は、外務省北米第一課長の千葉一夫(井浦新)を通して描く沖縄返還交渉のドラマだ。監督はNHKドラマ番組部の柳川強さん。
「この作品は昨年8月にBSプレミアムで放送したのですが、制作中から映画会社より関心を寄せていただいておりました。劇場版は、テレビ版を再編集して公開します」
これまで、交渉の裏側で交わされた密約についてばかりが語られがちだった沖縄返還。ところが、2010年12月に外務省が公開した約300冊の外交文書のファイルによって日米間のやりとりが詳(つまび)らかになった。そこから浮かび上がったのは、日米と沖縄を飛び回る一人の外交官の姿。「鬼の千葉なくして沖縄返還なし」と称された千葉その人だった。
「NHKで報道番組を担当する宮川徹志ディレクターから、『千葉一夫のドラマを作らないか』と声をかけられました。私は戦争や昭和を題材にすることが多いのですが、人生をかけて返還実現に情熱を注いだ男を伝えるためにはフィクションの力が必要――、そう考えられたのだと思います」
遺された記録から生まれた物語。交渉のドラマが、公文書の重みも伝えてくれる。
INFORMATION
『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』
東京・ポレポレ東中野にて公開中
7月7日沖縄・桜坂劇場ほか、全国順次公開
http://www.henkan-movie.com/