福原愛の元夫・江宏傑の芝居
リム 少年たちを指導する卓球のコーチは2人出てきますが……。
ホン 2人出てくるうちのひとりは、日本でも有名な福原愛さんの元夫の江宏傑(ジャン・ホンジェ)さんです。彼はもちろん大丈夫ですが、もうひとりのコーチは卓球がまったくできなかったので、江宏傑さんによる訓練を経て卓球ができるようになりました。子どもたちの方がうまいので、子どもたちにも指導してもらっていましたね(笑)。
リム 江宏傑さんは芝居がうまいですね。きちんと演技されていてびっくりしました。
ホン ありがとうございます(笑)。
リム スポーツ映画の肝となる試合のシーンは、スピード感と緊張感が圧巻でした。卓球は非常にスピーディーな競技ですが、どのように撮影されたのでしょうか。
ホン 試合のシーンは、事前に「このラリーでは、ボールがどういう軌道を描くか」ということをすべて設計してあります。それに沿って、子どもたちに何度も練習してもらい、撮影に臨みました。もちろん、時には設計図通りにいかず、そのラリーで負けるはずの選手が勝ってしまうこともありました(笑)。でも、その時の表情や動きが素晴らしくて、後で編集して別の場面で使ったこともあります。
背景の合成などにCGなどの特殊効果も使ってはいますが、あまり多くありません。実際の動きを大事にしたかったので、選手の動きやボールそのものは、ほぼリアルな映像です。
リム もう一つ驚いたのが「音」です。打球音の迫力がものすごかったですが、実際に球を打った音なんでしょうか。
ホン 音響は、台湾の著名な音響技師にお願いしました。彼は撮影された映像を見ながら、彼自身がもう一度ボールを打ち直し、その音を録音して映像に当て込んでいってくれました。
リム 大変な作業ですね。
素晴らしかった子どもたちの頑張り
ホン いちばん大変だったのは、主演の2人の子どもたちだと思います。特にクライマックスの決勝戦のシーンは、撮影に丸々1週間かかりました。試合が進むにつれて、選手たちがどんどん疲弊していく様子をリアルに表現する必要があったので、撮影の直前に、子どもたちにグラウンドを2、3周も走ってもらいました。本当にヘトヘトに疲れた状態になってからカメラを回したんです。
しかし、子どもたちは本当に素晴らしかった。彼らも「この映画を完成させるんだ」という同じ目標に向かって、必死に努力してくれました。その姿には、私自身が深く感動させられましたね。
リム 最後に、監督が考える台湾映画の魅力についてお聞かせください。
ホン 台湾映画の最大の魅力は、その「多様性」と「自由な創作環境」にあると思います。さまざまなジャンルの映画が作られており、作り手は自由に表現することができます。これからも、台湾の土地に根差した物語を描き続けながら、アジア、そして日本ともより多くの繋がりを持ち、世界に向けて作品を発信していきたいと考えています。
リム この映画を観た観客は、きっと今すぐにでも卓球がしたくなっているはずです。この熱量を、ぜひ多くの人に広げていってほしいですね。

