ディディの娘たちは傍聴から姿を消し、息子たちはレイプ疑惑で訴えられ…

 父親の裁判を6人の子供たちも傍聴した。しかしキャシーがフリークオフとDVの生々しい証言をした後、18歳の娘3人は姿を見せなくなった。当時22歳と自分たちと年齢の近かったキャシーに父親が行った残酷で奇異な行為を3人はどう受け止めたのだろうか。

ディディとディディの娘たち(ディディのXより)

 3人の息子のうち2人は父親と似た嫌疑で訴訟を起こされている。次男ジャスティンはショービジネスを目指す女性を「テレビの仕事がある」と誘い出し、女性に麻薬を与えた上で他の2人の男性とともに集団レイプしたとして訴えられている。

 三男キングことクリスチャンに対する訴訟はすでに棄却済みだが、ほぼ同様の訴えがなされていた。ともに俳優/ラッパー/モデルとしてショービジネス界に生き、しかし父親ほどの成功を収めていない彼らは、父親に対してどういった思いを抱いているのだろうか。

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(左から)ディディの息子のジャスティンとキングことクリスチャン(ジャスティン・コムズのインスタグラムより)

今回の裁判が社会に知らしめたこと

 ディディは自身が出演したミュージックビデオの内容に怒り、ボディガードを連れて提携レコード会社に乗り込んで会議中だった男性幹部社員を電話機で殴って蹴り、椅子を投げ付け、大ケガを負わせたことがある。

 キャシーが朝食を手際よく作れなかったという理由で熱いフライパンで頭を殴ろうとしたのと同じく、過剰な怒りの発作と言える。ディディは自分の制御不能な暴力衝動を抑える気は無く、その捌け口となり、さらに性的、精神的に従属する女性を貪欲に求めたのだ。

現在のキャシーと家族(キャシーのインスタグラムより)

 被害者がDVから抜け出せない理由がいくつもあることを、証言台に立った心理学者・ヒューズ博士は説明した。しかし結果的にディディは多くの罪状をすり抜けた。キャシーに「同意」があったとみなされたのだろう。DV犠牲者への理解が十分ではなく、今後、社会的に再考を促さなければならないことを、今回の裁判は知らしめたと言える。

【追記】自らをキングと名乗り続けたディディには古い"友人"がいる。自身をやはりキングと呼ぶ大統領のドナルド・トランプだ。今回の裁判は連邦裁判であり、ディディが長期刑を受けた場合、トランプはディディを恩赦することができる。裁判中、あるジャーナリストがトランプにディディ恩赦の可能性を質問したところ、トランプは「何年も彼に会っていないし、話もしていない」と言いつつ、「まず、何が起こっているか見てみよう」と、曖昧な答えを返している。

次の記事に続く 「衣装や体位にまで注文をつけた」17歳下恋人に複数男性と行為をさせて鑑賞、苛烈な暴力も…裁判で下された“驚きの判決”《米ディディ事件》