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遠くで隠れた人を発見する嗅覚
警察犬のにおいの追及は、地面を嗅いでたどるだけに限らない。地面から高い位置にあるもの、空気に混ざって遠くから漂うにおいをキャッチすることもできる。神奈川県警察では、あらゆる現場を想定した訓練が行われている。
「現場は多様です。行方不明者が滑落していたり、犬が近寄りにくい場所に人がいる場合もあります。犯人が民家の敷地の塀に隠れていたり、斜面や高い木の上にいたり、足跡追及に留まらないいろいろな場面を想定した訓練を全頭で実施しています」(赤坂さん)
訓練所の芝のフィールドでは、ユパ号が離れた場所にいる人を探す訓練をしていた。まず警察犬係員がフェンスの外の斜面に身を潜める。そして湯山さんがユパ号を連れてフィールドに入り、隠れた警察犬係員のにおいのついた布を嗅がせて捜索を始める。
この日は自主性を高めるためノーリードで行われた。ユパ号はにおいを嗅ぎながら走り、フェンスのそばで立ち止まる。斜面の中腹に身を潜める警察犬係員を見つけ、吠えてジャンプをして湯山さんに知らせた。
このように警察犬は離れた場所にいる人や物品のにおいにも反応する。警察犬の鋭い嗅覚を目の当たりにし、圧倒された。



