体格も性格も違う2頭を担当

奥木さんを見つめるジゲン号。信頼関係が見えてくる

 小柄なウタ号と、たくましいジゲン号。体格も性格も、経験も異なる2頭を、奥木さんはどのように導いているのか。

「接し方はやはり変わってきます。でも共通しているのは、犬が『楽しい』『もっと遊びたい』と思えるように訓練をすることだと思っています」

 どの犬たちも、楽しいから作業を行う。「大好きな担当者と遊びたい」という気持ちが警察犬の原動力になっている。

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ジゲン号もボールが大好き。ボールを回収して戻ってきたところ

 奥木さんから見るジゲン号は「従順で真面目な性格」という。

「別の警察犬係員がジゲンの好きなボールを持ってかまっていても、私が名前を呼べばこっちに来てくれます。私の声をしっかり聞いていて、私が訓練中にボソッと言った言葉もしっかり聞いて汲み取ってくれるんです」

ウタ号はご褒美のおもちゃが待ちきれない 

 一方ウタ号は好奇心旺盛。食べることも大好きだ。

「勤務を終えてあがるときは、とびきりの訓練をしてボール遊びをしています。ウタは食べることが好きなので、成果をあげたときは『次も頑張ろうぜ』とおやつをあげることもあります。そのときはすごい喜びますね。でも体重が1kg増えれば使役に影響が出てしまうので、太らないよう気をつけながら与えています」

 犬の性格を見ながら訓練し、たくさん褒めて技術を伸ばす。あらゆる現場を想定した訓練が、今日も重ねられている。

写真=山元茂樹/文藝春秋

次の記事に続く 「間違えると叱られる、怖い」現場で犬が動かなくなって…神奈川県警の警察犬係員が過去の失敗から学んだ“意外な犬への接し方”

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