「横浜家系からの卒業」を宣言する店も…
それまでの「〇〇家」という屋号から脱却し、一見家系ラーメンと気付かない外観や内装で他店と差別化を図る成功例を皮切りに、徐々に家系ラーメン戦争から抜け出そうとする家系ラーメン店が現れるようになってきた。
家系ラーメンの人気店「武蔵家」の総大将を務める三浦慶太さんが2021年8月、地元の葛飾区金町で開いた「三浦家」は、家系ラーメンの定義に縛られることに疑問を感じ、2023年4月、横浜家系ラーメンからの卒業を宣言した。
「このラーメンが家系ラーメンであるか、そうでないのか」という定義に雁字搦めになることで、イノベーティブな一杯が作りづらいと感じる職人も少なくないようだ。
家系ラーメンの定義を気にせずに、三浦さんが今一番美味しいと思える味にこだわり続けた。家系ラーメンを極め続けてきた三浦さんだからこそ辿り着けた一杯だ。
多様に進化する「ネオ家系ラーメン」
さらに、横浜家系ラーメンとは関係のない人気店が家系ラーメン店をオープンする動きも出てきた。
「せたが屋」グループが手掛ける「がんくろ」(武蔵小山)、「らぁめん小池」グループが手掛ける「こいけのいえけい」(巣鴨)などである。
こういったお店は、家系ラーメンへのリスペクトを込めながら、独自の製法を追求して作り上げたまさにネオ家系ラーメンだった。以前は定義に縛られて閉塞的だった家系ラーメンの世界が、この辺りからだんだん自由で多様になってきた。
近年では、豚骨よりも鶏を立たせた中野坂上「麺屋 たいせい」や、「飛粋」のように上質さにベクトルを振り切った東高円寺「豚骨 蒼翔」などネオ家系のニュースターが生まれ、この動きはさらに加速していく見込みだ。
このネオ家系ラーメンの動きは、家系ラーメン戦争からの脱却をきっかけに生まれたものだが、その中で個性的で新しい家系ラーメンが生まれ、多様化していくことで、まだまだ進化していく可能性が高い。今後の動きにも注目だ。
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