「今日の出陣式の件でたいへん困ったことになりましてね。現場にわが党の支持者の方々がいて、その人たちから『なんでうちの先生の出番がなかったのか』とさんざん問い質されるんです。代議士自身は気にしてはいないのですが、支持者の方が収まらないのですよ」
妻と選挙事務局長の2人が、隣の市にある代議士事務所にクルマを飛ばした。
秘書に平身低頭でお詫びをして事なきを得た。
「大恥をかかされた!」
また、別の出陣式でのこと。このときは、あるベテラン市議のあいさつの順番を1回生議員より後回しにしてしまった。後日、そのベテラン市議本人から事務所に電話がかかってきた。
「私の支持者が『先生の出番が、あんな若造議員のあとなのはおかしい』と怒っているんだよ。支援者の前で大恥をかかされてしまったわけで、どうしてくれるんだ!?」
怒る政治家は「自分が不愉快だ」とは決して言わない。たいてい「支援者が怒っていて」と主張する。
このときも妻がお詫びに駆けつけた。妻によると、市議は怒り心頭で、妻は土下座し、床に額をこすりつけて事を収めたという。
この土下座事件は選挙が終わってはじめて妻から教えられた。選挙中に私に伝えれば、余計な気をつかわせてしまうと配慮したようだ。
そのうえで、選挙後、妻はなんの配慮もなく、土下座させられたことの代償としてブランド物のバッグを要求した。もちろん私はその要求に従った。
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