失敗しても絶対に謝らない人は何を考えているのか。心理学博士の榎本博明氏は「自信がなく、コンプレックスを抱えている人ほど謝れない。頭を下げたら、自分が相手より下になると考えているからだ」という――。
※本稿は、榎本博明『絶対「謝らない人」 自らの非をけっして認めない人たちの心理』(詩想社新書)の一部を再編集したものです。
自信がなくて虚勢を張る人ほど謝れない
絶対に「謝らない人」というと、偉そうにしているから、自信満々な人だろうと思われがちである。だが、はたしてそうだろうか。
ほんとうに自信があるなら、偉そうにする必要はないだろう。ほんとうに自信があるなら、自信満々に見せる必要もない。
心理学の研究でも、自尊心が低く、もろい自己観をもつ人ほど謝らない傾向があることが示されている。
偉そうにして、自信満々に見せようとするのは、ほんとうは自信がないからなのである。自信がなく、不安でいっぱいだからこそ、偉そうに振る舞って、自信ありげな態度をとる必要があるのだ。
ほんとうに自信があるなら、頭を下げて丁重に謝るくらいのことで、そのプライドが崩れることなどないはずだ。
むしろ、自分に非があるなら、それを潔く認め、相手を尊重し、礼儀を守ることで、そのプライドは守られる。非礼なことをしたなら、そのプライドに傷がついてしまう。
ゆえに、謝るべき場面で謝らないことがある人は、じつは自信のない人が多いのだ。虚勢を張って偉そうにしているが、心の底では自信がなく、人から見下されるのではないかといった不安に脅かされている。いわゆるコンプレックスが強い人と言ってよいだろう。
親切心からの「手伝おうか?」にムッとする
「謝らない人」をよく観察してみると、さまざまな面で自信のなさを漂わせていることに気づく。
たとえば、ちょっとしたことでイライラしたり、怒り出したりすることがある。コンプレックスに触れることを言われると、感情的な反応になりやすい。相手にまったく悪気がなくても、コンプレックスが強いと、「バカにされた」と感じたり、「マウンティングされた」と感じたりする。
