文春オンライン

連載DMM亀山会長に聞いてみた。

「20代サラリーマン」の私が起業する方法――DMM亀山会長に聞いてみた

「20代サラリーマン」の私が起業する方法――DMM亀山会長に聞いてみた

かめっち会長の相談室

2018/07/09

Q 今は商社のサラリーマン。20代の私が起業するには?

 私の夢は将来起業することです。1000万円貯まったら会社を設立するつもりで、今までに500万円貯めました。現在は大手商社に勤めて、社会経験を積みながら勉強をしていますが、何で起業するかはまだ決まっていません。会長の経験をもとにしたアドバイスをお願いしたいです。(20代・男性・営業)

A 俺の場合は10万円くらいを元手に、路上で勝手に商品を並べて起業したけど、これは家賃も税金も払わないほとんど反則みたいな稼ぎ方だから、あまり参考にはならないね(笑)。

 いやー、すごいと思うよ。20代で500万円も貯められるやつなんて滅多にいないよ。そこは誇りに思ってもいいと思う。ただ、給料を貯金しているだけでは起業家にはなれない。貯金のあるサラリーマンになれるだけ。

 それより本当に起業したいなら漠然としたことを言ってるより、YouTuberでも物販でも何でもいいから、まずは小さな商いから始めてみることだね。確かに1000万円は大金だけど、ビジネスでは一瞬で消えちゃうもの。商売はとにかく身銭を切って実戦で学ぶしかない。

ADVERTISEMENT

 それでももう少し社会経験を積みたいと思うなら、少なくとも今の会社を辞めて、興味のある業種の小さな会社に転職したほうがいいよ。

 君が学生時代に学んだことは今の仕事で役立ってるかい? 全然でもないけど、それほどでもないなら、大企業で学んだことはそれと同じくらい起業に役立たない。

 大企業では営業職とか経理職みたいに分業化が進んで、会社の全体が見えない。起業というのは経営者になることだから、社長の近くにいるのが一番。何でもやらされる小さな会社の方が、はるかに勉強になると思うよ。

 経営者はオーケストラの指揮者のようなもの。ピアノやバイオリン奏者を極めるより、全部の楽器を理解しないと良い音はだせない。営業や技術にだけ詳しくなっても、会社は動かせない。

 君はおカネを貯めてからコンサートをやろうと思っているみたいだけど、俺なら時間を買うために借金をするね。カネを集めて、いい奏者を選んで、チケットを売って、そのカネで返済をする。消費のための借金はロクでもないけど、投資のための借金はビジネスでは当たり前のこと。それくらいのリスクを取らないと時間だけが過ぎていくと思う。

 いずれにしても起業というのは、君が今いる安定収入や働き方改革が当たり前の会社とは全く別の世界。借金と残業をしまくっても、ほとんどが報われないギャンブラーの世界。新しい会社の9割がたは倒産するもんだよ。

 それでも試してみたい夢なら、気力も体力もあるうちにサッサとやってサッサと結果を出したほうがいい。上手くいけばラッキーだし、失敗したら「自分は起業に向かない」と覚悟を決めて、早めにその後の人生を送ることができる。

 そして、成功したら会社をDMMに売りに来てね(笑)。失敗したら面接においで〜!

 

「○○さんに聞いてみた。」のコーナーでは、みなさまからの質問を募集しています!

質問投稿フォーム

「20代サラリーマン」の私が起業する方法――DMM亀山会長に聞いてみた

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー