「すごくブラック」「落ち目な感じ」

 給与水準は申し分ない。企業としての知名度も十分にある。見ているかどうかは別にして、NHKや民放キー局の社名を知らない人はまずいません。ディレクター、記者、アナウンサーなど、仕事の内容も割とイメージしやすい。にもかかわらず、なぜテレビ局の就職先としての人気が低迷しているのでしょうか。

 各種のデータからは、若者の生の声は見えてきません。そこで私は、例によって独自に調査を行ってみました。19歳から25歳までの大学生、大学院生、専門学校生、就職して間もない社会人を対象に、就職先としてのテレビ局のイメージを聞いてみました。直接、あるいは文書での調査を行い、30名から回答を得ました。以下の図がその結果です。

 

 この調査では、対象者に次の質問をしました。

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 ・質問就職先としてのテレビ局のイメージはどのようなものか

 寄せられた回答を「肯定的なイメージ」と「否定的なイメージ」で分類してみたのですが、実に8割以上が「否定的なイメージ」を持っていました。

 具体的な回答は次の通りです。

○否定的な回答

「すごくブラック」

「衰退している」

「落ち目な感じ」

「残業が多くストレスがたまる。休みがない」

「ヤラセで傲慢。入りたくない」

 私も、この結果を見て痛感したのですが、若い世代がテレビ局に持っているイメージが、とにかく良くありません。テレビ局の採用担当者がこの回答を見たら、目を覆いたくなるのではないでしょうか。ただ、どれも当たっているので、私としては何も言えません。

 ここに挙げた回答は、フジテレビのコンプライアンス問題が報道される前に聞き取ったものです。今調査を行ったら、一段と厳しいものになっていたことは想像に難くありません。

 断っておきますが、私はこの調査を行うに当たって「なるべく辛口のコメントをお願いします」などと事前に打ち込んで、回答を誘導するような「テレビ的演出」は一切行っていません。単純に、「就職先としてのテレビ局のイメージはどのようなものか」と問いかけただけです。回答してくれた人のほとんどは、私が昔テレビ局で仕事をしていたことも知りません。そういう意味で、この調査には何の忖度も遠慮も入っておらず、彼らの率直な意見が表れていると言っていいでしょう。