若者のテレビ離れ、報道姿勢や取材手法に対する不信感の高まり、テレビ局の収益低下など様々なマイナス要素が積み重なり、「テレビはオワコンだ」と言われるようになって久しい。話題を呼んだフジテレビのコンプライアンス問題も、この流れの中で起きた。

 “テレビの絶頂期”を見ながら子ども時代を過ごし、15年間NHKでアナウンサーとして勤務した今道琢也さんは、そんな現状のテレビ業界をどう捉えているのか。データを駆使して分析した『テレビが終わる日』(新潮新書)より一部を抜粋して紹介する。(全3回の2回目/続きを読む)

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「大物」への忖度はあるか

 テレビへの「信頼」はなぜ低下しつづけているのでしょうか。いろいろな人から聞き取った意見も参考に、私なりに考えてみたのですが、その要因は、以下の点に大別できるように思います。

 1.伝えている内容への不信感

 2.取材姿勢への不信感

 3.相次ぐ不祥事への不信感

 4.テレビという「既得権者」への不信感

 それぞれの要因について、もう少し深掘りしてみます。

 まず1について、テレビは、伝えるべきことを伝えているのか、政治家や芸能人、スポンサーなどに忖度して、伝えるべきことを正しく伝えていないのではないか、という不信感があります。また、他社の不祥事は大きく報道するのに、自社の不祥事は扱いが小さいのではないか、テレビは都合が良すぎるのではないか、という不信感も指摘できるでしょう。

 さらに、テレビは過去に様々なやらせ、捏造などの問題を生み出してきました。これらは、BPO(放送倫理・番組向上機構)の議題でも何度も取り上げられ、勧告がなされてきたところです。また、やらせ、捏造まで行かずとも、物事の誇張、一面的な切り取り、センセーショナルな取り上げ方など、演出上の問題点も指摘することができます。