NHKアナウンサーの仕事
先ほども少し述べましたが、取材が自己中心的になってしまうのは、制作時間が限られる中で、新しい話題を次々に見つけなければならないからです。これは、テレビ局員の習性のようなものです。ニュース、ワイドショー、バラエティなど、どのような番組であっても、スタッフは何か新しいネタは転がっていないか、何か面白い話はないかと常に探し回っています。
私自身も番組のネタを探して駆けずり回ることは日常茶飯事でした。意外に思われる方が多いのですが、NHKの場合、アナウンサーも番組の企画・制作という、ディレクター的な仕事を行うことが多々あります。
例えば夕方の番組で5分程度の中継の枠があったとして、「何月何日の中継は、○○アナウンサーが企画も含め担当する」といった形で割り振られます。この場合、何を中継するのかというネタ探し、出演交渉、台本の作成はもちろんのこと、当日の技術スタッフ・車両の手配、現場での仕切り、本番での出演、番組終了後の経理事務までを、担当するアナウンサー自身が行います。
一方で、企画から一連の裏方業務まですべてディレクターが行い、アナウンサーは当日の出演だけ、というパターンもあります。両者の業務配分としては、ディレクター企画の番組の方がやや多い、くらいだったと記憶しています。
余談ですが、NHKのアナウンサーに採用された後、このようなディレクター的な業務も担当することを知り、「話が違う」と言って辞めていく人がいます。私の後輩の一人も「騙された」と言って辞めていきました。私自身は、取材に出て自分でやりたいことを企画できるので、むしろこのような仕事のシステムの方が良かったとは思っていますが。