「なぜ我が家を壊すようなことをしたのか。なぜ娘から父親を奪ったのか」と被害者の妻が泣き崩れる場面も……。2021年(令和3年)に起きた、陶芸の師匠と弟子の不倫から端を発した殺人事件。いったいなぜ弟子である女性は、何度も愛し合った師匠を殺害したのか? 犯行経緯、その後の犯人女性の様子をお届け。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/最初から読む)
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事件前日の夜、2人は…
事件前、千里はトウアズキという毒性の強い植物や睡眠薬を用意し、当時は規制されていなかったクロスボウ(洋弓銃)やペティナイフを購入した。
事件の1カ月前には「抵抗されたら打つ」「ビールに睡眠薬」「ポテサラにトウアズキを混ぜる」「仰向けにしてノドをやる」といった犯行の構想をノートやメモに記していた。
事件前日、千里は「女友達の家で酒を飲む」と言って自宅を出て行き、1人でラブホテルに泊まった。
翌朝、チェックアウトして、別の部屋に入り直した千里は〈302に入った。何時頃になりそう?〉と熊野さんにLINEした。
〈10時までには行くよ〉
〈コンビニで何か食べ物や飲み物を買ってきて〉
〈分かったよ〉
熊野さんは予定時刻通りに入り、千里と合流した。2人は挨拶もそこそこに激しくセックスにふけった――。
