7月2日、 米マンハッタン連邦地裁はアメリカのヒップホップ/エンターテインメント界の大立者、ディディことショーン・コムズ被告(55)に、「売春目的の移送罪」で有罪判決を下した。

 世界的な人気ラッパーであり音楽プロデューサーのディディが、性的人身売買や恐喝などの容疑で逮捕、起訴され、全米で大きな話題となったこの事件。2か月にも及んだ裁判は、DV(家庭内暴力)の定義に再考が必要であることを考えさせる、非常に重要なものとなった。

(※本記事には身体的・精神的虐待についての記述があります。ご注意ください。)

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ショーン・コムズ被告(右)と、被害を証言したキャシー(左)。交際時は2人揃ってメディアの前に現れることも多かった〔2015年5月4日撮影〕 ©AFP=時事

麻薬を与えて複数男性と性行為をさせた

  注目を集めたのは主に「フリークオフ」と呼ばれるセックス・パーティにかかわる容疑だった。ディディは元恋人キャシー(38/本名:カサンドラ・ヴェンチュラ)が22歳の頃から、麻薬を与えた上で、複数の男性エスコートと数日間にわたってセックスをさせ、自慰をしながらそれを鑑賞するという行為を約10年間続けていた。

※写真はイメージ ©AFLO

  フリークオフは、ディディがニューヨークやビバリーヒルズに持つ豪邸や各地の高級ホテルの一室などで行われた。キャシーは麻薬やアルコールでハイになったうえで、男性エスコートと不眠不休のセックスを「36時間から時には3日も続ける」という壮絶な内容だった。ディディはキャシーの衣装やネイル、部屋の照明、体位にまで注文を付け、全てを自分好みに仕立て上げていた。

  フリークオフのためにディディもしくはキャシーが偽名で予約したホテルは、フリークオフ後、部屋中にできたベビーオイル、ロウソクの蝋、血液、体液、嘔吐などの汚れの清掃に数百ドルから数千ドルを請求していたという。

度重なる暴力も

  さらにディディはキャシーに対して度重なる暴力も振るっていた。裁判には事前にCNNによって放送された、ホテルの廊下でディディがキャシーを殴打する2016年の動画も証拠として提出された。ディディはホテルの警備員に10万ドルを支払い、このビデオを買い取っていたことも明らかになった。

裁判の証拠として米地方検事局が公開した、2016年にディディがキャシーを暴行する様子が映ったホテルの監視カメラ映像(「extraTV」YouTubeより)

  今回の裁判では、ディディは「売春目的の移送罪」のみで有罪となり、より量刑が重い「強制、詐欺、脅迫による性的人身売買罪」など他の罪状では無罪となった。全て有罪となれば終身刑もあり得ただけに、弁護側の勝利と言えるだろう。量刑宣告は10月に予定されている。

「キャシーは自由意志でフリークオフを続けたか?」

 裁判の焦点は、キャシーが10年もの長期間にわたってディディの元を離れなかったことから「キャシーは自由意志でフリークオフを続けたか否か」に絞られていた。

 なぜ、ディディは一部で無罪を勝ち得たのか? キャシーはディディとの泥沼の関係を断ち切るのに、なぜ10年もの年月が必要だったのだろうか。

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 裁判での証言から浮かび上がる二人の本当の関係性、この裁判が社会に知らしめた“大きな課題”とは。在米ライターの堂本かおる氏が裁判の全貌を記したこの記事の全文は、以下のリンクよりお読みいただけます。

最初から記事を読む 「麻薬を与えられ、複数男性と連日にわたって行為を」人気歌手(当時22)が芸能界の大物に“乱交パーティー”を強いられ…全米が注目する事件の真相

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