「このまま飲みに行こうよ~」酔った乗客に絡まれた時の“対処法”とは?

――トイレ、大変ではないですか。

中島 トイレがいちばんの悩みです。行きつけのトイレがあって、「ここを走っていて、困ったらここ」ってスマホのナビにすべてブックマークしています。公衆トイレやコンビニとか、トイレのコレクションを完成させるのに、3年かかりました(笑)。

――困った客もいますよね。酔ったヤツとか横柄なヤツとか。

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中島 「急いで!」みたいなお客さまはいますね。「なるべく急ぎます!」とは言うんですけど、制限速度が50キロの道で70キロ出すわけにはいかないじゃないですか。事故を起こしたらマズいし、スピード違反で捕まりたくないから、急いでいるふうを装いつつ落ち着いて運転してます(笑)。

 酔ったお客さまは多いです。絡まれるのがいちばん困るんですけど、そこはもう運ですね。絡まれたら、こっちは淡々とした対応をするだけですけど。

 

――ピシャッと。

中島 あんまりヘラヘラしてると絡まれやすいので。運転に集中したいし、もう淡々と。酔っていても楽しいお客さまならいいんですけど。おそらく、私が女性だからだと思うんですけど、セクハラ系の人はいますね。

 直接的にどうこうはないんですけど、酔ったお客さまが2人だと下ネタの話をして「ねぇ、お姉さんはどう思う?」って聞いてくることが多いですね。

――わざと下ネタの話を聞かせて反応を見ると。すこぶる気持ち悪いですね。

中島 「このまま飲みに行こうよ~」なんて言われたりしますけど、そこは無視です(笑)。

「不倫だろうな」っていう熟年の男女、ため息をつくキャバ嬢も

――東京だと、昼夜問わずいろんな客とめぐり逢いそうですけども。イチャイチャしたカップルとか。

中島 いますけど、こっちがなにか言う立場にはないので。ただ、そういう場所じゃなくてタクシーなので、熱くなられるのも困るなって。なんで、ちょっとすごいときは窓を開けて、外のノイズを入れ込んだり、換気したりしますけど(笑)。

 

――不倫中らしき男女などは?

中島 昼はいないけど、夜は目立ちますね。「この人たち、不倫だろうな」っていう熟年の方たちが、「どうする?」「どこ行こうか?」とか話してたり、駆け引きっぽいことをしてたりして。

 あとは、カップルかなと思ってた男女を乗せていて、男性が降りた直後に女性が「ハァ~~~~」ってデカいため息をつくんですよ。そうしたら、その女性のお客さまが話しかけてきて。キャバ嬢で、男性はお客さんでしつこかったらしいんですよ。「大変ですよね」って、思わず言っちゃいました(笑)。

 キャバ嬢であろう女の子に、甘々な電話をかけている中年のお客さまもいて。どうも冷たくされたようで、電話を切ったあとは、私にキレ気味に話しかけてくるんですよ。「めっちゃ、八つ当たりされてる……(笑)」と思いながら、ハンドルを握ってました。

撮影=石川啓次/文藝春秋

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