「時間帯によって空車は走ったらダメ」赤坂や銀座、羽田空港でも…タクシー業界の“謎ルール”

――タクシー業界の謎ルールみたいなものはありますか?

中島 ありますね。たとえば、赤坂と銀座だったら、時間帯によって空車は走ったらダメ、迎車は走ってオッケーの通りがあったり。そこはバブルの頃にタクシー渋滞が起きていたらしくて、そうなったままらしいんですけど。

 夜の9時か10時だと、お客さまを乗せて入ってもいいけど、降ろしたらすぐに回送にして、一番最初の曲がり角を曲がって速やかにそのエリアを出ないといけないんです。

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 羽田空港も、勝手に待機したらダメなんです。空港からのお客さまって、長距離が多いから乗せたいじゃないですか。だけど、ナンバープレート下一桁の数字が偶数か奇数かで、待機できる日が決まってるんですよ。「今日、待機できるのは偶数のナンバー」って。

 

――そうしておかないと、みんなが長距離の客を狙って殺到するわけですね。

中島 そうなんです。あと、羽田空港は待機するエリアにも決まりがあるんですよ。ナンバーが23区内だったらここのレーンで待機、横浜だったらここのレーンで待機と、割り当てられていて。私、ぜんぜんわからなかったので、現場で同業者のおじさんに教えてもらって「そうだったんですか?」と。

 会社では研修があって、そうしたことを教えてくれるんですけど、覚えることがたくさんあるので、実際は現場に出て覚えていくことが多いです。

「メーター、入ってないですよ」タクシードライバーとチェックするタクシーセンターの存在

――タクシードライバーがルールを破るとどうなるんですか。

中島 ハイヤー・タクシー協会がやっているタクシーセンターという法人機関があって、そこから会社に「あなたのところの乗務員が違反してます」と連絡が入るんですよ。さすがに罰金を取られるみたいなことはないですけど。

 タクシー会社は、上からAAA、AA、Aといったランクで評価されるんですけど、罰則にあたることを起こすとランクを下げられて評価も落ちるんですね。

 お客さまがタクシードライバーの態度の悪さにクレームを入れる先も、タクシーセンターになります。

 

――タクシーセンターの方がチェックして回ることは。

中島 していますね。渋谷とか銀座とか、タクシーの集まる繁華街に多いと聞いています。1回、注意されたことがあります。メーターを入れ忘れていたことがあって、窓をトントンする人がいて「メーター、入ってないですよ」と言われて「あ、ありがとうございます」って。