朝焼けとともに見る「地獄の門」も美しい

 ここから歩いて5分ほど離れたエリアにユルタが3つ建ててあった。星空の下、バーベキューを楽しみ眠くなるとユルタに入った。マットを敷いて横になったら何かが跳ねる音がして「まさかサソリ」と飛び起きた。

 懐中電灯を照らしてみれば、見たこともない緑の巨大バッタたちが枕元をあちこち跳ねている。サソリよりはマシだが、大の虫嫌いの私にとっては地獄の門より地獄絵図である。こんな砂漠でノートを片手に緑の不法侵入者たちを追い回すことになろうとは。

宿泊はテントやユルタで

 翌朝、ふと目が覚めてユルタの外に出ると、東の空が赤みを帯びていた。朝焼けの「地獄」に会いに行くと、巨大な穴には昨夜と同じ真っ赤な火が揺れている。

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 日の出とともに柔らかい光に包まれ、炎はオレンジから淡いピンク色へと変わっていく。そして太陽が完全に姿を現すと炎は白く弱くなって、夜型の「地獄」もようやく眠りについた。

 朝に晩に表情を変える「地獄七変化」は世界でも唯一無二のもの。けれど、最近、トルクメニスタン政府は周辺の生態系の悪化につながると、この地獄を閉鎖すると発表したらしい。摩訶不思議な地獄の炎もついに終焉の時が近づいているようだ。

次の記事に続く どうせウソでしょ、と思いきや…“中央アジアの北朝鮮”と呼ばれるナゾの独裁国家で見た、「ガチで黄金の馬」の衝撃

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