「被害者が自ら命を絶ったという被告の主張は、監察医の報告により、その可能性はないと判断できる。また自ら命を絶った動機について『娘である被告が助産師学校を不合格になったから』というのは、被告が始末書を作成していることからも想定内であり、突発的に命を絶った可能性は否定される。さらに被告は被害者が亡くなったことを隠ぺいしており、その理由は被告が被害者を殺害した以外に理由は考えられない。

 精神障害については認定するが、判断能力や行動能力の低下は見られず、責任能力はあると判断する。被告の発言や態度から反省しているとは思えない点や、近隣住民に恐怖心や不安感を与えた犯行であることも見逃せない。動機も自らの希望進路のためと自己中心的である非難は避けられない。

 とはいえ、被告と被害者の関係性からも同情の余地はある。被告はこれまで、お母さんに敷かれたレールを歩み続けていたと思いますが、罪を償った後は自分の人生を歩んでほしいと思います」

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懲役は…

 弁護側は判決を不服として控訴したが、その後、のぞみ被告は一審の判決文を何度も読み返し、自分の心情を事細かに説明、理解を示す内容に心を打たれ、真実を話そうと決意する。

 そして迎えた大阪高裁での第二審。のぞみ被告は「母は私を心底憎んでいた。私も母をずっと憎んでいた。『お前みたいな奴、死ねば良いのに』と罵倒されては『私はおまえが死んだ後の人生を生きる』と心の中で呻いていた」「何より、誰も狂った母をどうもできなかった。いずれ、私か母のどちらかが死ななければ終わらなかったと現在でも確信している」など、母殺害の詳細を記した陳述書を同高裁に提出する。

 2021年1月26日、高裁は一審判決を破棄し、懲役10年を宣告。検察側、弁護側ともに上告しなかったため、刑が確定した。

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