「同情の余地はある。被告はこれまで、お母さんに敷かれたレールを歩み続けていたと思いますが、罪を償った後は自分の人生を歩んでほしいと思います」
2018年1月20日、滋賀県に住む看護学生が母親を殺害し、遺体を解体の末に遺棄した事件。教育虐待の末に、殺人を犯してしまった当時31歳女性のその後とは……。我が子を無惨に殺された親、学生時代ひどいイジメに遭った者などが仕返しを果たした国内外の事件を取り上げた新刊『世界で起きた戦慄の復讐劇35』(鉄人社)から一部抜粋してお届けする。(全4回の4回目/最初から読む)
◆◆◆
「ウザい! 死んでくれ! 死ね!」
2月20日、取り上げたはずのスマートフォンをのぞみが所持していたことを知ったしのぶさんは、改めて自分で購入したというそのスマホを取り上げたうえで自宅の庭の石で叩き壊し、娘に靴下のまま庭石の隣で土下座、謝罪させた挙げ句、その様子を撮影した。この一件で、のぞみの中に初めて母への殺意が芽生える。
さらに12月24日から26日にかけて、しのぶさんは娘とのLINEのやり取りで「どうせ茶番だろ。助産師の国家試験が終われば、あんたは間違いなく裏切る。私はニべもなく放り出される。だから私はあんたに復讐の覚悟を決めなければならない。母の生きた証だよ!」「ウザい! 死んでくれ! 死ね!」など激しい文言を使い、看護師になることを決して許さないことを強調する。
年が明けた2018年1月5日、助産師学校の願書提出に関して母から激しい叱責を受けたこの日、のぞみは大学のパソコンで「ペディナイフ 殺人」などのワードでネット検索し、同月14日には「ナイフの殺害の仕方 裏・復讐代行業者裏サイト」などのタイトルのサイトを閲覧。3日後の17日にも、メモ帳代わりに使用していたGメールの下書き機能を用いて「チャンスは何回もあったのに決めきれなかったことが悔やまれるぞ。早く決めよう。怖じ気づくな。やっぱり明確で強い思いがないと無理だということがわかった。一応準備だけした」とのメモを残した。
その翌日が助産師学校の試験日で、結果が不合格であれば被害者を殺害しようと思って書き残したものだった。
