勘違いされるほど「不便な場所」ではない青ヶ島
そういう方たちは、少し勘違いしてるのかな、と思っています。まず、青ヶ島はそこまで都会と切り離された場所じゃありません。たしかにヘリの座席数は少ないし、船の就航率も高くない。そういった意味では行きづらい島ではあります。でも、羽田空港から飛行機とヘリを使えば、乗り換え時間を含めても3時間程度で行けます。
東京都だからテレビは東京本土と同じ内容が流れているし、Amazonを利用すれば送料無料で必要なものを買えるし、映画だってNetflixやAmazonプライムでいくらでも楽しめます。
なので、みなさんが思っているより「不便な場所」ではありません。でも、そういうことは実際に動画を見続けてもらわないと、なかなか伝わらないんだなって思いましたね。あと、私はそこまで若くないです(笑)。
メディアで取り上げられるようになってから、たしかにアンチコメントがつくようになりました。それでも、他のチャンネルと比べると、穏やかで暖かいコメントが圧倒的に多いと思うんです。それは、誰も傷つけようがない、穏やかで平和な青ヶ島の日常を配信しているだけだから、文句のつけどころがないからなのかなって思っています。
平和すぎるから大きな事件が起きなくて、爆発的にバズることもないんですけど(笑)。でも、「青ヶ島ちゃんねる」はそれがいいんです。
観光客だけでなく、青ヶ島出身者や島民にも喜んでもらえる「エンタメ」へ
また、発信をしていて特に嬉しいのは、島を出た人たちからの反応です。青ヶ島には、小さな診療所しかないから、病気や怪我を理由に島を離れる人も少なくありません。また、家庭の事情や仕事の都合で島を離れた人もいます。
そういう人たちから「島の様子を映してくれて嬉しい」「懐かしい景色が見れて嬉しい」ってメッセージをもらうこともあって。そんなとき、この活動をやっていてよかったなって、私まで嬉しくなります。
また、島内の人たちも「青ヶ島ちゃんねる」を見てくれているんですよ。風景や日常だけでなく、島で開催されるお祭りやイベントも記録しているから、島民で集まって「楽しかったね」「こんなことあったね」と懐かしみながら動画を見返すこともあります。
あとは時々、「本土の友達に見せたいから、今度撮影するときは俺を映してくれ」なんてリクエストされることも(笑)。私の活動が、島のエンタメのひとつになっているようで嬉しいですね。
今後は、「青ヶ島に来る前の心構え10選」のような、観光客が安全に島を楽しめるコンテンツ作りにも力を入れていきたいです。船が欠航する可能性があること、宿は必ず予約すること、レンタカーがないと移動が大変なこと、立ち入り禁止の場所があることなど、安全に島を楽しんでもらうためにも、そういう実用的な情報をもっと発信していきたいですね。
YouTubeを通じて、島民も観光客もみんなが「青ヶ島っていいよね」と思えるような情報を発信していくのが、私の役割なんじゃないかな、と思っています。
取材・文=仲奈々
写真提供=佐々木加絵
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