日本一人口の少ない村、青ヶ島村在住のYouTuber・佐々木加絵さんが“島暮らし”を発信する連載企画。
東京都心から約360km離れた人口156人(2025年7月1日時点)の小さな島・青ヶ島。交通手段が限られていて、簡単に上陸できないことから、別名「絶海の孤島」と呼ばれている。
そんな青ヶ島の日常をYouTubeで発信しているのが、佐々木加絵さん(41)。「私にとっては普通なのですが、島外の人からすれば、青ヶ島の日常は非日常なのかもしれない」と話す加絵さんは、いったいどんな“島暮らし”を送っているのだろうか。今月2日に結婚を発表した加絵さんに、青ヶ島の日常をYouTubeで配信し始めたきっかけや、配信を通じて起こった島の変化を伺っていく。
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「仕事どうしようかな」と始めた青ヶ島の暮らしの発信
青ヶ島には高校がないため、中学卒業後に東京本土に移り住み、それから約20年間本土に住んでいましたが、2019年、父の他界をきっかけに青ヶ島に戻ってきました。
本土を出るときに会社を辞めてしまったから、「仕事どうしようかな」と思って始めたのが、青ヶ島の暮らしを発信するブログとSNSの運営でした。
最初は正直、「アフィリエイトで稼げたらいいな」くらいの軽い気持ちで始めたんです。でも、実際に運用していくうちに、青ヶ島の暮らしや観光の情報ってほぼ世の中に出てないんだな、ということに気づきました。
青ヶ島は、2014年にアメリカの環境保護NGO「One Green Planet」の「死ぬまでに見るべき世界の絶景13選」に選ばれて以降、国内外から観光客が来るようになりました。
絶景だけ伝え、実情はほとんど報道されていない青ヶ島の情報
でも、青ヶ島行きのヘリは、1日1回の運航で、9人しか乗れません。ヘリの他に連絡船もありますが、断崖絶壁の小さな島で風や“しけ”の影響を受けやすいから、就航率は5割程度です。160人程度の小さな島だから、宿泊施設に限りがあるし、食事をとれるような飲食店はほぼなく、バスやタクシーもありません。
当時、青ヶ島の絶景を伝えるメディアはあっても、こういった実情はほとんど発信されていませんでした。だから、青ヶ島に来たのはいいものの、行きたい場所に行けないとか、船の欠航が続いて予定通り帰れないという観光客がいました。
事前に青ヶ島の状況を知っていれば、ある程度の心構えはできます。でも、「青ヶ島は世界でも有数の絶景が見れるらしいぞ」という情報しか持たずに来てしまうと、「思っていたのと違った」「面白くなかった」とがっかりしてしまうかもしれません。
それは、観光客にとっても、私たち住民にとっても良くないことなので、「きれいな景色」だけじゃなく、よりリアルな青ヶ島の情報を発信していこう、と思うようになったんです。


