日本一人口の少ない村、青ヶ島村在住のYouTuber・佐々木加絵さんが“島暮らし”を発信する連載企画。

 東京都心から約360km離れた人口160人(2025年2月1日時点)の小さな島・青ヶ島。交通手段が限られていて、簡単に上陸できないことから、別名「絶海の孤島」と呼ばれている。

 そんな青ヶ島の日常をYouTubeで発信しているのが、佐々木加絵さん(41)。「私にとっては普通なのですが、島外の人からすれば、青ヶ島の日常は非日常なのかもしれない」と話す加絵さんは、いったいどんな“島暮らし”を送っているのだろうか。今回は、青ヶ島と加絵さんの過去を振り返りながら、青ヶ島の日常を解き明かす。

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青ヶ島生まれ・青ヶ島育ちの佐々木加絵さん(本人提供)

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2019年に仕事をやめて青ヶ島に戻った理由

 父の訃報を受けた2019年。私は当時、新宿のエンタメ会社でデザイナーをしていましたが、退職して青ヶ島に戻ることにしました。その頃、父と母は2人で民宿「かいゆう丸」を立ち上げる予定で、宿の工事も順調に進んでいました。しかし、もう少しで宿が完成する、というタイミングで父が突然倒れてしまって……。

 青ヶ島の法事は、かなり独特です。島には葬儀屋さんはありませんし、お坊さんもいません。だから、遺族がすべての準備をしなければいけない。葬儀は自宅で行い、参列者への料理も遺族が用意します。しかも、四十九日が終わるまでそれを毎週行うんです。

 長年連れ添ったパートナーを亡くした母を心配する気持ちと、島独特の事情を考慮した結果、「今は母の側にいないと、きっと後悔する」と思い、会社を辞めて青ヶ島に戻る決断をしました。

 戻ったばかりの頃は、朝は民宿の掃除や洗濯をして、空いた時間にデザインの仕事をしていました。会社を辞める時、「これからもフリーランスとして個人的にデザインの仕事を頼んでもいいか」と声をかけてくれた方から、仕事を依頼されていたんです。