雅子さまは“圧倒的な存在感”…モンゴルの雄大な自然を凝縮したかのような和服をお召しに
7月8日に行われた晩餐会では、皇后陛下になって初めて、海外で和服をお召しになられたと思われる。「大統領夫人が民族服だったので、事前に話し合ってお召し物を調整されたのではないか」(宮内庁関係者)という。象牙色の訪問着の裾にはオリーブグリーンのぼかしが入っていて、モダンで個性的な配色だった。それをナチュラルに着こなすのは、雅子さまの存在感ゆえではないだろうか。
「和名ではオリーブグリーンは海松(みる)色といいます。帯は古典文様の唐菱文でした。柄は草原を連想させるかのようなさまざまな草花。モンゴルの雄大な自然を一枚の訪問着に凝縮されたかのようですね。訪問国へのご配慮はお見事だと思いました」(ファッションジャーナリスト)
実は雅子さまが海外で和服を披露されるのはとても珍しい。私の記憶では、1994年の中東4か国ご訪問、つまり、あの砂漠にグリーンのジャケットのサウジアラビア訪問と同じタイミングで訪れた、オマーンでのオマーン婦人協会主催のレセプションご出席以来ではないかと思う。また、国内でも晩餐会で和服をお召しになることは珍しい。皇太子妃時代は「ひもや帯で締め付けられる着付けがご負担なのではないか」(宮内庁関係者)と言われるくらい、和服をお召しになる回数が少なかった。モンゴルの晩餐会での和服を拝見し、そんなことはなかったのだと感慨深かった。
「雅子さまはおしゃれでお召し物は作られないのです」
私は雅子さまがナーダムの開会式をご覧になりながら、陛下やフレルスフ大統領と楽しそうに笑いあい、アクロバティックな馬の演技に感動されて、次第に気力を取り戻されたのではないかと思っている。この頃から目に力がこもっておられるように拝見していた。
雅子さまは1993年1月19日、婚約内定会見でご自身の果たす役割を問われ、「皇室という新しい道で自分を役立てることなのでは」と、きっぱり述べられた。幼少期や外務省時代の経験に基づいた国際的な経験をいかし、皇室の国際親善に役立てたいというお考えがにじみ出ていて、まるで決意表明のようだった。雅子さまの服作りに携わった経験のある人物は「雅子さまはおしゃれでお召し物は作られないのです。仕事の一環で、公務の性質や内容に沿うように“仕事着”としてお作りになるのです」と教えてくれた。
ナーダムの開会式のお召し物は目に鮮やかなロイヤルブルー。立ち襟には柔らかいドレープを寄せて、組みひものようなアクセントで粋なアレンジをされていた。“目立たないところのおしゃれ”を仕事着に取り入れて、雅子さまは国際親善の舞台でこれからますます輝きを増していくのではないだろうか。

