『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)での大ブレイクから2年。7月8日から放送開始となった『誘拐の日』(テレビ朝日系)で子役・永尾柚乃が再び脚光を浴びている。

 本作は、2023年に韓国でドラマ化されたチョン・ヘヨンによる同名小説を原案とするヒューマンミステリー。心優しきマヌケな誘拐犯・新庄政宗(斎藤工)と、記憶喪失の天才少女・七瀬凛(永尾柚乃)の異色のバディによる逃亡劇を描いている。

永尾柚乃 ©時事通信社

「人生何周目?」と視聴者を驚愕させた名演技

 日本でのリメイクにあたっては永尾の存在も後押しになったようだ。本作のプロデューサー・峰島あゆみ氏はインタビューで永尾の起用理由を以下のように語っている。

ADVERTISEMENT

「正直、日本で今この役を演じられるのは永尾柚乃さんしかいないと思っています。逆に言えば、彼女がいてくれたからこそリメイクに踏み切れたと言っても過言ではありません」(※1)

『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』『ザ・トラベルナース』など、テレビ朝日からヒット作を世に送り出してきたプロデューサーにそうまで言わしめた永尾は、2016年10月生まれの現在8歳。「小さい頃の思い出になれば」という母親の意向により芸能界入りを果たし、わずか1歳半の時に『コールドケース2 〜真実の扉〜』(WOWOW)でデビューを果たした(※2)。

『拾われた男 LOST MAN FOUND』(NHK BSプレミアム/ディズニープラス)や『エルピス-希望、あるいは災い-』(カンテレ・フジテレビ系)などに出演したのち、2023年1月期放送の『ブラッシュアップライフ』で一躍スターダムにのし上がる。

 同作は、芸人・バカリズムの脚本で、交通事故により命を落とした主人公の麻美(安藤サクラ)が来世も人間として生まれ変わるために、何度も人生をやり直して徳を積む姿を描いた物語。永尾は“チビ麻美”こと、麻美の幼少期を演じた。

 見た目は幼稚園児だけど、中身は33歳という設定に説得力を与えていたのが永尾の表情だ。特に秀逸だったのは、保育士の先生と同級生・玲奈ちゃんの父親が親しげに話しているシーン。のちに2人が不倫関係に陥ることを知っている麻美は心底軽蔑した表情に。

 それでも麻美は、玲奈ちゃんのために、ひいては徳を積むために2人の不倫を阻止しようとする。淡々と計画を進める過程で見せる、どこか達観した表情からは大人の哀愁が漂っており、年齢とのギャップがお茶の間の笑いを誘った。そんな永尾の巧みな表情演技あってこそ、この作品は成立したと言えるだろう。