中国が強める海洋進出、その先に控える危機に、どう向き合うべきか。
2014年まで自衛隊制服組トップの統合幕僚長を務めた岩崎茂氏(72)に見解を訊いた。
今年3月、岩崎氏は台湾行政院から「政務顧問」に異例の任命を受けている。就任後初めて、岩崎氏が本格的に「台湾有事」について語ったスクープインタビューをお届けする。
――近年、日本を取り巻く安全保障環境は戦後最も厳しいと言われています。
「中国の軍備増強、北朝鮮のミサイル発射等を背景に当然ながら緊張感や危機感は年々、高まりつつあると思います。ただ、核戦争の恐怖があった冷戦時も我々には緊張感がありました。昔はさほど広く安全保障が議論されず、今は人々が関心を抱きやすくなったことも『最も厳しい環境』と言われる所以だと思います」
――中国の軍事費が膨らんでいますね。
「中国の今年の経済成長率は5%程度ですが、軍事費の増加は前年比7%以上です。また米国には『中国の実際の軍事費は発表の2~3倍だ』と見る研究者も多い。中国が発表した今年の軍事費は約37兆円で、日本の防衛費と関連経費は総額9.9兆円です。この額でも我が国の約4倍。米国の研究者の見方に沿えば既に米国に迫り得る額(昨年の米国の軍事費は約148兆円)かもしれません」
インタビューでは、「台湾有事」だけでなく、今年3月に就任が発表された台湾の政務顧問の役職についても尋ねた。台湾当局の説明によれば無報酬で、任期は1年と報じられている。
――なぜ台湾行政院の政務顧問に就任したのですか。
「その件に関しては、事の詳細や具体的な経緯はコメントでき難い状況にあることをご理解ください。まず先方から昨年ごろオファーがあり、最初は固辞のお返事をするなど逡巡しましたが、最終的にお請けすることになったのは確かです。その後、何かの拍子で、広く報道に至りました。様々に臆測を招いたかもしれませんが、ただ、私に期待されていることは、ご質問のとおり『政務』に関することだと思っております。ですので、私は退官後、一民間人として、台湾の官民との交流促進や意見交換等やって参りましたが、今後の役割もこれまでと何か大きく変わらないと個人的には受け止めております。私は、これまでどおりの活動を継続しようと考えておりますし、最終的には、私のこれまでの経験等を活かして、東アジアの安定に寄与できればと思っております」
現在配信中の「週刊文春 電子版」および7日発売の「週刊文春」では、岩崎氏が見る中国の海洋進出、日本における戦闘機の役割、台湾有事の起きる可能性、そして台湾との交流について詳しく聞いたインタビュー全文を公開している。
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