5年連続の「圧倒的1位」は……

 そして1位は、次の路線だった。

1位:日暮里・舎人ライナー(計測区間:赤土小学校前~西日暮里)
混雑率:177%(2023年:171% 2020年:140% 2019年:189%)

 日暮里・舎人ライナーは、JR・私鉄を問わず、計測対象の全路線の中から5年連続で不名誉な「混雑率1位」を記録している。1時間当たりの輸送能力は2023年度の4788人から2024年度は4887人と微増したものの、それを客数の増加が上回って混雑率は前年比で6ポイント上昇した。

JRや民鉄などを含めた全路線でも混雑率がトップの日暮里・舎人ライナー(筆者撮影)

 日暮里・舎人ライナーが圧倒的に混雑する原因、それは1編成・5両で250人程度という「車両定員の少なさ」にある。この路線はもともと「地下鉄7号線(のちの東京メトロ南北線)」の一部として計画されたものの、周りが未開発であったため地下鉄ルートから外された経緯がある。その結果、定員が少なく無人運転が可能な「新交通システム」(AGT)に変更された。

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 現状では朝ラッシュ時に3分ほどの間隔で運行しているものの、乗客をまったくさばき切れていないがゆえに、圧倒的な混雑率となっている。もし8両編成・1200人程度を一度に運べる地下鉄として開業していれば、ここまで混み合うことはなかっただろう。

 ただ、実は昼間だとガラガラなのが日暮里・舎人ライナーの特徴で、建設費の償還を含めるとずっと赤字が続いている。車庫を拡張すれば増便・増結できるが、あいにく車庫を地下に作ってしまったため、拡張できない。赤字路線のために、もう1カ所車庫を構えたり、地下空間をさらに拡張したりといった判断はしにくい。

 苦肉の策として、現在はロングシートで車内スペースを広くとれる車両への置き換えという策を取っている。つまり「ちょっとだけラッシュ時に人を多く乗せられる車両を増やす」程度でしかない。日暮里・舎人ライナーの“トップ独走”は、しばらく続く可能性が高い。