かつての「絶対王者」たちはどこへ……
首都圏の各路線を見ると、コロナ禍前後で客足の戻り方に差が出ている。例えば東京メトロ日比谷線や都営浅草線・三田線などはコロナ禍前の輸送人員に戻しているのに対し、東京メトロ有楽町線・半蔵門線・東西線などはコロナ禍前にまったく届かないほど輸送人員が減少、混雑率もすっかり落ち着いている。
半蔵門線は乗り入れ先である東急田園都市線が低迷していることを織り込んでも、乗客が6割ほどに減少、混雑率は2019年度の169%から2024年度は103%と、かなり落差が激しい。
東京メトロ東西線や東急田園都市線など、かつて200%をはるかに越えていた「混雑率の絶対王者」たちのラッシュがことごとく緩和されたことで、混雑が解消しない日暮里・舎人ライナーの混雑率が、相対的に上位に上がってしまった、と言えるだろう。
ただ、来年からは混雑率ランキングに異変が起きるかもしれない。
ぎゅうぎゅう詰めなのに「混雑度98%」の怪
なぜかというと、東京メトロが導入している「列車混雑計測システム」の精度が向上した銀座線が「98%→147%」、副都心線が「137%→117%」(両路線とも2023年度→2024年度の数値)というように、大きく数値が変わっているからだ。
これまでのシステムは「改札の通過人員」「車両の重量測定で計算」「目視」など、計測方法がバラバラで正確といえなかった。東京メトロが開発した新システムは、人工知能を活用して混雑状況を計測する。最近「東京メトロmy!アプリ」で見かける「車両ごとの混み具合表示」も、このシステムによるものだ。
これによって、従来以上に正確な混雑度が今後明らかになるだろう。実際、他路線よりコンパクトな車両の銀座線で朝のラッシュ時にぎゅうぎゅう詰めになりながら「これが混雑率98%なわけないだろうが!」と違和感を持っていた人もいるのではないか。
東京メトロによると、このシステムは有楽町線・南北線などでも導入しており、他路線への導入も進めていくとのこと。新システムの導入や他事業者への外販などで、来年からの混雑率の数値も変わってくるのではないか。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。


