「戦争を始めるのは簡単だが、終わらせるのが難しい」。そう語っていたのは、半藤一利氏だ。あの戦争から80年、戦争終結が困難なのはいまも変わっていない。ロシアのウクライナ侵攻、イスラエル・ガザ紛争……どちらも泥沼化し、終わりが見えてこない。
現代に通じるこの課題について、真の原因を見極め、教訓を引き出すため、保阪正康氏・新浪剛史・楠木建氏・麻田雅文氏・千々和泰明氏の5氏が、日本の終戦を徹底討議した。その2万4000字にも及ぶ大座談会「日本のいちばん長い日 なぜ戦争をもっと早く終わらせられなかったのか?」を、ダイジェストで紹介します。[全5トピック]
「日本は当初、どのような戦争終結構想を描いていたのか。それを示すのが、1941年11月15日、大本営政府連絡会議で決定された『対米英蘭蒋戦争終末促進に関する腹案』です。この会議には、首相、陸海相、関係閣僚…」(千々和泰明)
「東條の性格は強気一辺倒で、終戦工作を考えられるタイプの軍人ではありません。物事を政治的に見たり、押したり引いたりすることができない。東條の発言はいつも強硬論ばかりで、引き際が無いんです」(保阪正康)
「日本はかなり早いタイミングで『これしかない』と決めつけてしまっているように見えます。『これしかない』と決めないと、気合が入らないのかと思うほどです。たしかにひとつに絞れば全力を投入できますが…」(楠木建)


