外出すると「なんで、あなたはここにいるの?」と言われることも…
――日本語と英語の使い分けは、友人関係にも影響したのではないでしょうか?
かんだち 日本語と英語の環境によって、付き合う友だちが分かれていたかもしれません。日本人の多い地域に住んでいたときも、言語を混ぜたくなかったので、現地の学校では英語を使うアメリカ人の友だちが中心だったんです。逆に、日本語補習授業校では、日本語だけをしゃべるようにしていました。
――かんだちさんが言語を「混ぜない」と決めていたように、アメリカでは、自分の立ち位置をハッキリさせなければいけない風潮もあったんでしょうか?
かんだち あったと思います。アメリカでは、日系アメリカ人として過ごしていた私のように、マイノリティの居場所はある程度決まっているんです。そこから一歩外へ出ると「なんで、あなたはここにいるの?」と言われますし、白い目を向けられる覚悟も必要だとは思っていました。
大人になって、日本に来てからは「そんなに考えなくてもいいんじゃない?」と言われますけど、帰国子女であり日系アメリカ人のマイノリティとして過ごしてきた誇りを背負って、日々を過ごしています。
「頭が小さいと脳みそが小さいからバカだ」と容姿をからかわれ…
――アメリカで、言語以外でもマイノリティを自覚する場面はあったんでしょうか?
かんだち 幼い頃に、お姫様ごっこで人種の違いを感じたことがあるんです。ディズニープリンセスになりきる遊びで、友だちから「あなたはムーランにしかなれない」と言われました。
――昔の中国を舞台にした『ムーラン』が引き合いに出されるのは、分かりやすいとも思います。
かんだち そうですね。でも、差別というほどではなく、フランクな印象でした。アメリカでは、自分がマイノリティであるかを考えさせられるきっかけもたくさんあります。例えば、学校では、教科書に自分と似た人がいるか、色鉛筆に自分の肌と同じ色があるかで、社会におけるマイノリティかどうかに気付かされるんです。
――見た目の話では、現在所属するアイドルグループ「アイドル失格」の動画で、アメリカでは「頭が小さいと揶揄される」と語っていたこともありましたね。
かんだち 「頭が小さいと脳みそが小さいからバカだ」と言う人もいて、私も頭が小さいので友だちによくからかわれました。
体型についても、価値観が違いますね。日本に来てからは小柄な私を褒めてくださる方もいるんですけど、アメリカでは胸とお尻が大きいボンキュッボンな体型が「美しい」とされているから、異性に相手にされなかったんです。憧れていたわけではないけど、むこうで理想とされる女性に「当てはまらないんだなぁ……」とひっそり思っていました。
撮影=三宅史郎/文藝春秋
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