日本で生まれながら、生後半年でアメリカへと渡り青春時代を過ごしたかんだちちよかさん。2021年11月、ワシントン大学(University of Washington)大学院時代に日本へ来て、アイドルの道へと進んだ。現在は、アイドルグループ「アイドル失格」のメンバーとして、ステージを中心に表舞台での活動に力をそそぐ。

 帰国子女の日系アメリカ人という「アイデンティティにはずっと縛られていく」と俯瞰するかんだちさんに、来日後にあったアイドルとしての歩み、そして、日本とアメリカの狭間で生きる自身の将来像などを尋ねた。(全2回の2回目/1回目から続く)

アイドルグループ「アイドル失格」のメンバー・かんだちちよかさん ©三宅史郎/文藝春秋

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大学入学直後、勝手に「英語をしゃべれない」と決めつけられ…

――小学校での飛び級もあったため、17歳で大学へ進学。当時の環境はいかがでした?

かんだちちよか(以下、かんだち) 日本人の友だちもいた高校時代までと違い、アメリカ人の友だちがほとんどの環境になって、心境も変わりました。

 見た目がアジア系なだけで「あなた、14歳かと思った」と言われて、「幼く見られるのならせめて、自立した大人としてのふるまいをしよう」と思い、難しい語彙を増やして、英語をしゃべるときはトーンを低めにしようと決めたんです。

 

 新入生のオリエンテーションでは勝手に「英語をしゃべれない」と決めつけられて、ガイダンスのパンフレットを渡されなかったこともありました。だから、偏見を持たれないように、それ以降は教室へ入った瞬間から英語で第一声を発して「あなたと同じアメリカ人です」とアピールするようにもなりました。

 アジア系の人間が英語の文法を間違えると「英語ができない」と評価されるけど、白人系アメリカ人の友だちが間違えると「崩していてカッコいい」と評価される違いもあったので、常に正しい英語を使わなければいけないというプレッシャーもありました。