周りから「空気読めないね」と言われ…日本で暮らすようになって感じたコンプレックス
――それは、コンプレックスのような?
かんだち アメリカで暮らすアジア系アメリカ人としては日常だったので、コンプレックスを抱くほどではなかったと思います。むしろ、コンプレックスが生まれたのは日本で暮らすようになってからで、日本で求められる「日系アメリカ人のアイデンティティって何だろう?」と悩む苦しさもありました。
神社やお寺でお参りのルールが分からなかったり、日本の常識に戸惑ったり。アメリカにいたときのように振る舞っていたら「空気読めないね」と言われたりして、周りとちょっとギクシャクしちゃったこともあります。
――アメリカでも日本でも、行く先々で自分の立ち位置を常に探してきたということでしょうか。
かんだち どこに行っても、学び直さなければいけない感覚です。自認する私のイメージを受け入れてもらえなくて「分かってほしい」というわがままな気持ちもあります。
「アイデンティティクライシスですか?」と言ってくる人もいるんです。でも、私の人格はアメリカで確立されたし、揺るがないのでハッキリとした「クライシス」だとは思っていません。
「リモート授業だけで終わってしまうかもしれない」大学院時代に日本で暮らし始めたワケ
――2021年11月に日本へ来てから3年半以上。環境には慣れましたか?
かんだち 生活には慣れたんですけど、景色を見ると「異国だな」と思います。洋風の建物であっても、アメリカと日本では窓の形が違うんです。アメリカに住んでいた当時の写真を見ると、むこうが「ホームなんだな」と懐かしくなります。
日本にいて、むこうに近い感覚を味わうときもありますね。アイドルとしての遠征で新潟に行ったときは、道路が広々としていて、車線の数もアメリカと一緒だったのでテンションが上りました。ドトールのチョコチップクッキーも、しっとり感がアメリカのクッキーに似ているのでなごみます(笑)。
――日本で暮らし始めたのは、大学院時代だったそうですね。
かんだち そうですね。大学を卒業した当時はコロナ禍で、就職活動が上手くいかなかったので“夏休みの延長”みたいな感じで大学院に進んだんです。
ずっとリモートで授業を受け、課題を仕上げていたんですけど、「せっかく大学院へ進んだのにリモート授業だけで終わってしまうかもしれない」と思って、湘南に住む祖父母を頼って日本での生活をはじめました。大学院の近くに住んでいる必要はないし「日本で暮らしてみたい」とも思っていたので。

